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第6回 株式会社吉蔵 代表取締役 杉山吉孝氏 後編

2009年01月19日
[ 株式会社吉蔵 杉山吉孝氏 ]
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このコラムについて 話を聞く人/海野尚史
今回お話をお伺いしたeしずおかブロガーさんは、家具の話を中心に、暮らしや文化への想いをブログで発信しているkittsanさんこと杉山吉孝さん。
 杉山吉孝さんは、静岡市葵区住吉町にある家具工房に生まれ育ち、島桑指物家具、創作李朝家具、厨子・仏壇をはじめとした、個性的で新しい家具作りに取り組んでいます。
 そんな杉山さんに、家具作りへの想いを込めた、kittsan流(杉山流)ブログ活用法について、お話をお聞きしました。

● ブログタイトル「kittsan流」 http://kittsan.eshizuoka.jp/
● 「吉蔵」ホームページ http://www.kichizo.co.jp/



『プライベート風を装いながらビジネスにする、
自分のことを書きながら仕事にする』



海野 最近、気になっていることはありますか。
第6回 株式会社吉蔵  代表取締役 杉山吉孝氏 後編
杉山 ブログを書く際に迷うことは、“ネチケット”のこと。

今日は〈eしずおかブログ〉の取材を受けていますが、このことをブログに書いていいのか、写真は撮ってアップしていいのか、オーダーで作った家具を紹介するときにもお客さまの承諾が必要か…、いろいろ悩みます。

すべてにおいて承諾をとろうとすると、億劫になってしまう。


海野 そうですね、“ネチケット”については、多くのブロガーさんも
判断に迷う場面があるのではないかと思います。

当たり前の答えになってしまいますが、基本は承諾をとる。
なかなか言い出しにくい場面もありますが。

承諾をとる場合は、事後よりも事前にとるほうが、
気持ちは楽かもしれませんね。

杉山 たしかに、そうですね。

■商品紹介の枠を越えて歴史や文化も発信

海野 先ほど、自分が楽しめることを書くというお話がありましたが、
あらためてブログを書く目的を教えていただけますか?

杉山 私は家具の仕事においてはスペシャリストだと思っているのですが、
その分野のスペシャリストが知りうる情報で、
一般の方が知らないと思われる情報を伝えていきたいと思っています。

家具は、その国の文化でもあります。
一般の方の認知度は低いけれど、家具のプロの世界では
貴重といわれる本をみなさんに紹介したり、

李朝家具の背景にある朝鮮文化や、
家具に使われる金具の大きさや形にも理由をあるのですが、
そんな情報も取り上げていきたい。

海野 単なる商品紹介の枠を越えて、
家具を取り巻く歴史や文化も発信していこうとしているわけですね。

杉山 家具の背景にある文化も、
商品のもっている価値だと思います。

厨子や仏壇を手がけると、
“仏壇とは何ぞや?”
と考えてみるわけです(笑)。

自分がその家具を作ろうと思った理由や
文化を紹介し続けることが、
長い目で見てビジネスにもプラスになり
家具づくりのレベルアップにも
つながるんじゃないかと思っています。

第6回 株式会社吉蔵  代表取締役 杉山吉孝氏 後編

■自分と自己を繋げる、自分で自分を問う

海野 話は変わりますが、以前杉山さんが「ブログ的人間関係」
「kittsan流」ブログの意味7)という題で書いていた

「ブログは社会と個人、他者と自己を繋げる今日的ツール」
であるとともに

「自分と自己を繋げる、自分で自分を問う場」
というお話は、まったく同感でした。

“ブログ上という公の場で、自分で自分を問う”
というところにもブログの意味がある気がします。

杉山 日記も同じだと思いますが
自分の思っていることを違う媒体に映してみて、
そこに見えるものと自分を照らし合わせてみる、
それはとてもいいことですよね。

しかも、ブログの場合は他者からの視線を感じたり、
コメントとして反応を引き起こすこともある。

海野 たしかにそうですね。
たとえコメントはつかなくても、管理画面を見れば、
事実として確かに誰かが見にきていることがわかる。

そして記事ごとの訪問者数の増減などから、
人の興味・関心や気配がつたわってきます。

もうひとつ私がブログを書きはじめて実感していることがあります。

以前は、自分が出会った人や出来ごと、
読んだ本や見た映画などについて感じたこと、心の変化などを、
誰かに話すことで、気持ちがスッキリしたり、整理できていた。

最近は、それらの気持ちをブログに“吐き出す”ことで、
心に溜まっていく澱のようなものから解放される気がしています。

簡単に言えば、スッキリする(笑)。

その点で、私も自己中心的なブロガーの一人ですね。

■匿名性の自由と、オープンにする快感

海野 今回取材のお願いをした際に「正面の顔写真は、勘弁してください。
それであればお受けします」と、真っ先にご返事をいただきました。

杉山 ブログを書いていて、“匿名性”のありがたさを感じています。

もちろん、自分の名前や顔写真をブログで公開することもいいと思いますが、
私の場合はできるだけベールに包まれていたい(笑)。

匿名であるからこそ、自由に書ける気がします。

海野 私は、名前も写真も公開していますが
匿名にすることで書きやすいことがある、
というのはよくわかります。

一方で、今月の「広告批評(2008.12、No.332)」の巻頭対談「“ほぼ日的”10年をめぐって」の中で、
糸井重里さんと天野祐吉さんがこんな話をしています。

「僕は自己完結的にキチッと書かないと性分としていやなんだけど、
ブログではそれがかなりくずれてきた」

という天野さんに対して、糸井さんはこう答えています。

「友達に語るように“よくわからないけど、
 オレってこう思っているんだよね”みたいな部分を解放していった」

「(ブログでは)完成度の低いものを差し出せるようになる、
 それが快感だった」

つまり、活字媒体やオフィシャルなコメントなど使う
“ハレ”的な言葉ではなく、
近しい友人などとの間で使う話し言葉、
“ユルい”言葉で
時には変に見えるかもしれないことを、
匿名ではなく、オープンにしてどんどん書いてしまう。

そこに気持ちよさや快感がある、
ということなのではないか、と思います。

“自分が相手にどう見られたいか”を考えたときに、
ある部分を匿名というベールで隠す方法もありますが、

逆にオープンにしてしまうことが快感になるという感覚は、
ネットでもリアルでも共通しているのではないでしょうか。

  ※「ほぼ日刊イトイ新聞」
     http://www.1101.com/home.html
   「天野祐吉のあんころじい」
     http://amano.blog.so-net.ne.jp/

杉山でも、自分の顔を出すのは……。
イケメンならいいのですが(笑)。
やっぱり気になります。考え過ぎかなぁ。

ブロガーがどういう人なのか、空想する楽しみや、
分別のある大人がバカバカしい記事も書けるのも、
匿名ならではの気がします。

海野 ブログというツールは、まだ生まれたばかり。
まだまだ過渡期です。
いまは、それぞれの立場でブログを自由に実験的に
活かしていけたらいいのではないでしょうか。

■1ヶ月毎日書いてみれば、きっと何か気づく

杉山 私は、書き続ける中で、ブログのいろいろな面白さに気づきました。
家具組合のメンバーと一緒に始めたのですが、
書いていない人も多いんです。

もちろん、ブログがむいていない人もいると思いますが、
やってみてダメなら止めればいい。

まずは、期日を決めて最低1ヶ月は
毎日書いてみることをおすすめしたいです。

1ヶ月毎日書いてみれば、きっと何か気づくと思います。

海野これからブログをどのように使っていきたいと考えていますか。

杉山 これからは、プライベート風を装いながらビジネスにする、
自分のことを書きながら仕事にする、
そんな方法を目指していきたいですね。

基本は、これからもブログを楽しみながら書く。
私は、今年ブログという趣味がひとつ増えました(笑)。

海野 今日は、kittsan流ブログ術についてお話しいただき、
ありがとうございました。

これからも、楽しみに読ませていただきます。



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