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静岡でブログる人々 このブログについて

第5回 ブログによる情報公開で、業界のレベルアップに貢献 

2008年11月25日
[ウィングホーム(株)斎藤元志氏]
[ ウィングホーム(株)斎藤元志氏 ] 
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このコラムについて 話を聞く人/海野尚史
今回ご登場いただいたのは、社長ブログ「wingchair(ウィングチェア)-ウィングホームの社長日記」を書いているウィングホーム株式会社の斎藤元志社長。ウィングホームさんは、菊川市に本社を置き、菊川市を中心に掛川市、御前崎市、周辺地域を主なエリアとして、注文住宅を手がけている地域密着の工務店さん。多くの工務店さんが新規客の獲得のために新聞折り込みなどを活用している中で、ウィングホームさんは2年ほど前からブログを積極的に活用し、自社の情報発信や顧客獲得に取り組んでいます。今回は斎藤元志社長に、ブログを始めたきっかけや、効果などについてお話を伺ってきました。企業としてのビジネスブログに興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

【ブログタイトル】
「wingchair(ウィングチェア)-ウィングホームの社長日記」 http://wingchair.eshizuoka.jp/
「ウィングホームのStaff日記」 http://winghome.hamazo.tv/
 
 


海野 ブログに書いたことで、読者の反応を感じるときはどんな場面ですか。

斎藤 そうですね。わかりやすい例で紹介しますと、商談やプランニング中のお客さまは、私のブログをご覧になる方が多いのですが、私がブログ上でたまたま「これはいいですよ」と書いた商品を、お客さまがそれと同じものを選択する、という傾向がありますね。



例えば、屋根は、瓦がいいか、カラーベストがいいか、などについて書く時に、基準を耐震性におくか、耐久性におくか、などで選択基準は変わります。たまたまブログで耐震性について書いたときには、カラーベストはいいですよ、と書くのですが、それを読んだお客さまはそちらを選ぶ。

私はお客さまを誘導するような目的でブログを利用するつもりはまったくないのですが、実際にはお客さまの判断に影響を与えてしまうのは確かです。ただ、あまり考えすぎると何も書けなくなってしまうので、あまり気にせずに書きたいこと書く、というようにしています。

海野 ブログの効果は、どんな場面で感じていますか。

斎藤 今ではブログが本当に大事な情報発信のツールになっていて、影響力でいえばホームページ以上だと思っています。すでにブログはあってあたり前のような存在ですので、どれがブログ効果なのか、なんて計れなくなっているのが正直なところです。

ホームページは同業者であれば、内容はどこも似たりよったりですし、第一いいことしか書きませんよね。それに内容もいつも変わりません。

遠方の取引のない会社を調べる時にも、ホームページではなくブログの方が相手の会社の様子がよくわかります。

関連会社で輸入資材を扱っている会社があるのですが、そこには全国から問い合せや見積もり依頼がきます。そんな時も、先方の会社について、ホームページではなくてブログを見て、安心して取引できる会社かどうか判断する参考にしています。

効果という点でいえば、ひとつ確かなことがありますね。

それは、私やウィングホームという会社のことを嫌だなって思った人は来ない、という点です。
これはすごく大きなプラス効果です。

無駄な営業やミスマッチを未然に防ぐことになりますから。お互いにとって幸せなことだと思います。

もうひとつ、見えない相手に対する不安を取り除く効果でしょうか。

〈eしずおかブログ〉でも、ブログを書いているお寿司屋さんは多いですよね。実は工務店も時価の寿司屋さんと同じ。見ず知らずの方にとっては、工務店の敷居は高いし、怖くて入れない。お寿司屋さんと同様に、ブログを書くのは、「中にいる人はそんなに怖くないですよ」とわかってもらいたいからだと思います。

○○工務店と看板を掲げていても、怖くて入れないという方の不安を取り除いてあげることが大切。ブログはそのような不安を取り除く効果もありますね。

海野 斎藤社長は〈eしずおかブログ〉を使っていただき、社員の方が書いているスタッフブログは〈はまぞーさん〉を利用されていますね。


斎藤 私たちの仕事は地域性が大切ですので、地域の方に見ていただけるブログがいい。
私は最初にココログで書きはじめましたが、その後浜松の地域ブログ「はまぞう」さんができたので、スタッフは「はまぞう」ブログで書きはじめました。2007年の1月に、取引先から静岡の地域ブログ〈eしずおかブログ〉がオープンしたと聞いて、自分のブログを〈ココログ〉から〈eしずおかブログ〉に引っ越してきたというわけです。これでウィングホームの情報を、静岡県内の中部・西部地域に発信できることになりました。





海野 斎藤社長は、出張時以外はほぼ毎日のように更新されています。ブログを始めて以来ずっと継続できているモチベーションは何ですか

斎藤 新しい情報発信は、成果が現れるのに1年半かかるといわれていますよね。だから最初に「1年半は続けよう」と思ってブログを書き始めました。そして、今では、お客さまのほかに取引先や社員、身内なども含めてですが、毎日約100名ほどの方が見にきてくれています。そのような私のブログを見てくれているファンがいてくれる、といことがモチベーションになっています。

時々同業者のブログを見ることもあるのですが、それもブログも書く意欲を高める効果があります。

海野 ブログを書きはじめてから気づいたことや変化はありますか。

斎藤 変化があったとすれば、文章を書くことに抵抗が無くなったことかなぁ(笑)。もともと理系出身ですから、書くことは不慣れだったんです。以前は折り込みチラシやホームページの原稿を書くことにも時間がかかったのですが、ブログを書きはじめてから随分と早くなりましたし、苦手意識もなくなりました。

海野 ブログについて家族で話すことはあるのですか

斎藤 妻は私のブログを読んでくれています。でも、突っ込んでブログの話題を直接するということはないですね。仕事のことなどの深い部分についても話すことはほとんどありません。

ただ、ブログを書く以前と比べると現在の方が、私が考えていることや、思っていること、今どんな仕事に取り組んでいるかなどについて、すごく良く理解してくれていると思います。

海野 毎日の更新はどのようにしていますか

斎藤 事務所にいる時(出張の時以外)は、できるだけ毎日更新。毎朝出社して最初の仕事が、コーヒーを飲みながらブログを書くことです。ネタはいろいろと考えながら用意したりしますが、何を書くかはその日の朝、パソコンの前に座ってから決めます。

海野 これからブログを始める方にアドバイスをいただけますか。

斎藤 アドバイスというものはとくにありません。個人としてブログ書く方は、好きなことを書いていけばいいと思います。同業者に向けてであれば、いろいろありますが…。

アドバイスではありませんが、私はブログが世の中に良い影響を与えていると思っています。

同業者を例にとって言いますと、最近では工務店同士が互いのブログを通じて情報公開することで、工夫改善やサービス向上に活かしていると思います。

「我が社は2プランまで無料で図面を書きます」「引渡し時にテープカットしています」「シロアリの薬の塗り方は…」など、同業者同士がセールスポイントを情報発信し、互いにいいものを取り入れる(盗む)ことで、業界全体のサービスのレベルアップにつながっているのではないでしょうか。

サービス内容が画一化してしまうという懸念もありますが、そしたらまた他社がやっていないサービスを考える。

ブログを通じて情報公開を促進することで、その結果、お客さまにいい家を提供することに、大きく貢献できているのではないでしょうか。

海野 今日は貴重なお話をありがとうございました。

(終わり)



  

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第5回ブログは、初対面のお客さまが自分から自己紹介してくれる

2008年11月11日
[ウィングホーム(株)斎藤元志氏]
[ ウィングホーム(株)斎藤元志氏 ] 
このコラムについて 話を聞く人/海野尚史
今回ご登場いただいたのは、社長ブログ「wingchair(ウィングチェア)-ウィングホームの社長日記」を書いているウィングホーム株式会社の斎藤元志社長。ウィングホームさんは、菊川市に本社を置き、菊川市を中心に掛川市、御前崎市、周辺地域を主なエリアとして、注文住宅を手がけている地域密着の工務店さん。多くの工務店さんが新規客の獲得のために新聞折り込みなどを活用している中で、ウィングホームさんは2年ほど前からブログを積極的に活用し、自社の情報発信や顧客獲得に取り組んでいます。今回は斎藤元志社長に、ブログを始めたきっかけや、効果などについてお話を伺ってきました。企業としてのビジネスブログに興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

【ブログタイトル】
「wingchair(ウィングチェア)-ウィングホームの社長日記」 http://wingchair.eshizuoka.jp/
「ウィングホームのStaff日記」 http://winghome.hamazo.tv/

 


海野 今日は「wingchair(ウィングチェア)-ウィングホームの社長日記」についてお話をお伺いしたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。

斎藤 よろしくお願いします。



海野 この場をかりて告白しますが、〈eしずおかブログ〉のオープン時から「wingchair」さんの隠れファンでした(笑)。いつか斎藤社長にお話を聞いてみたいと思っていたので、個人的にも今日はとても楽しみです。

「静岡でブログる人々」の読者さんの中には、ウィングホームさんについて知識のない方もいると思いますので、最初にウィングホームさんのお仕事について紹介していただけますか。

斎藤 ウィングホームは、私が32歳の時に興した住宅工務店です。創業は平成8年、菊川市を中心に、掛川市から御前崎市周辺で注文住宅を建てています。

海野 ホームページを見たのですが、手がけている住宅は洒落たデザインの住宅が多いですね。特徴を教えていただけますか。


斎藤 ひと言で言えば、“空気にこだわる家造り”ですね。創業当時、工務店業界では「住まいは中身(室内)に金をかけろ」と言われていましたが、その頃から私は、外観をはじめデザインにこだわってきました。もちろん、耐震性や温熱環境などの機能性は十分に確保した上でです。その後、人が快適と感じる空間をさらに追求していく中で、今では“空気”に対するこだわりに行きつきました。

もうひとつは、「マイホームを楽しもう」ということです。薪ストーブは、私が好きで扱っています。






海野 “空気”というのは住空間の雰囲気のことではなくて、“空気”そのもののことですか?

斎藤そうです。たとえば、あなたが高級ホテルのスィートルームに宿泊したとしますね。オーシャンビューの素晴らしい景色が広がり、素敵なインテリア、調度品が揃っていても、部屋の空気そのものが気になる(不快)に感じたら、その部屋で心地よくは過ごせないのではないでしょうか。

住空間の機能性を追求して最後に行きついたのが、“空気”だった。それで現在のウィングホームは、“空気”にまでこだわる工務店を目指しています。



海野 〈eしずおかブログ〉の前にココログでブログを書かれていたと思いますが、最初にブログを始めたのはいつ頃だったのですか。

斎藤 2006年の5月にココログで始めたのが最初です。それから半年ほど後に、同業者の知り合いから静岡にも地域ブログがオープンしたと聞き、2007年の1月に〈eしずおかブログ〉に、自分のブログを引っ越して来ました。



海野 ブログを始めたきっかけは、何だったのでしょうか

斎藤 これは今でもはっきりと覚えています。知り合いに個人経営の工務店さんがいるのですが、その方から「ブログやってる? ブログはいいよ」と声をかけられたのがきっかけです。

「ブログの何がいいの」と聞いてみたところ、「初対面のお客さまが、自分から自己紹介してくれる」というのです。例えば、「わが家にもお宅と同じように子どもが二人いて…」という具合に。

ブログで仕事のことや、自分のプライベートなどを情報発信し続けていると、それを見て問い合わせてくれたお客さまは、今度は自分が自己紹介する番だと思うわけですね。

会社がどんな家を作っているか、経営者やスタッフはどんな人か、をお客さまに知っていただくところから、わたしたちの営業は始まるのですが、その最初のプロセスをブログが代わりにやってくれる。

お客さまに信用していただく作業はブログ上で済んでいて、初対面のときはお客さまが自己紹介をする番というわけです。

そんな話を聞いて、ブログを書き始めました。

海野 ということは、ブログを仕事に活かす、という明確な目的があったのですね。

斎藤 そうですね。これから出会うであろう未来のお客さまに、“わたしたちウィングホームは、どんな家を作りたいと考えているか”、それを知っていただくことが一番の目的だと思っています。



海野 カテゴリーも工夫しているように見受けられますが、どんな内容を書こうと心がけているのでしょうか。

斎藤 ブロガーさんというのは一般的に“自分の書きたいことを書く”ことが多いと思います。私の場合は、自分の書きたいことよりも、これから家を建てたいと真面目に考えている方が知りたいだろう、ことを、書くように心がけています。

土地を探している方には土地の見極め方を、デザインや間取りにこだわる人には、それぞれに対する答えになるような内容を書きます。

もうひとつは、「ここの社長はどんな人なんだ?」ということも、お客さまが知りたいことのひとつですね。

カテゴリーで言えば、「暖炉・薪ストーム」「住まい・インテリア」「シックハウス・アレルギー」「不動産」などは、お客さまが聞きたいこと。「日記・コラム」「家庭菜園・ガーデニング」などは、私が書きたいことですから、そこから私の性格がわかってしまうのではないでしょうか。


海野 ブログは、お客さまだけでなく、社員や取引先に向けて書くこともあるのですか。

斎藤 先ほども言いましたが、一番読んで欲しい方は、あくまで家づくりを真剣に考えている人です。誰でも見ることのできるブログですから、遠方などに住んでいる方など、必ずしもウィングホームで建ててくれなくてもいい。「この社長の家造りに対する考え方は面白いな」と思ってくれるだけでもかまいません。

だから、社員にわかってもらいたい、と思って書くようなことはしません。なぜそのように思ったかと言いますと、以前、うちの社員にブログを書かせた時に、文章から「社長にわかってもらいたい」という気持ちが伝わってきたことがあるのですね。その時に、ちょっと違和感を感じました。

気持ちはわかりますが、いつも顔を合わせているのですから、社長に言いたいことがあったらブログ以外の方法で伝えるべきですし、逆に自分も社員に言いたいことは、顔を見て直接社員に言おうと思ったのです。

大企業であれば社員に向けて書くような場面もあるのだと思いますが、そのような使い方をしないように気をつけています。

海野 そのほかに、書く内容で気をつけていることはありますか。

斎藤 仕事の固い話ばかりが続いてしまわないように気をつけています。お客さまが楽しみながら読んでくれませんから。妻からも「最近、ブログがつまらない…」と言われることがあるのですが(笑)、それがふつうのお客さまの正直な感想だと思います。

もうひとつは、言いたいことや考えていることが、自慢話にならないように気をつけています。私もそうかもしれませんが、社長には自慢したがりが多いと思います。でも、自慢が続くと読者に嫌がられてしまいますから。

ですから、自分の書いた内容も後から読み返してみて、自慢話になってしまったな、と感じたとき、後で削除してしまうこともあります。

それと、ブログというツールは、その人の“人となり”が相手に伝わってしまいやすい。言い方はよくありませんが、本当はどんな人かがバレてしまう怖さがありますね。

(次回に続く)
  

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